ポアソン分布の概要
ポアソン分布は、ある特定の時間や空間内で一定の確率でランダムに発生する事象(例えば、ある時間内にサイトに訪れる人数や、ある面積内に生える木の数など)の確率を計算するために使用される統計的な分布です。この事象は互いに独立である必要があります。つまり、一つの事象が発生することが他の事象の発生に影響を及ぼさないということです。
ポアソン分布は、以下の2つの前提があるときに適用されます:
- 事象が特定の期間または領域内で独立してランダムに発生する
- 平均的な発生率(λ:ラムダ)が一定である
たとえば、あるウェブサイトへの平均訪問者数が1時間あたり10人である場合、このウェブサイトに1時間以内に特定の人数が訪れる確率を計算するために、ポアソン分布を使用することができます。また、1エーカーの森林に平均15本の木が植えられている場合、特定のエーカーに特定の数の木がある確率を求めるためにもポアソン分布を使用することができます。
ポアソン分布の特性は次のとおりです:
- ポアソン分布は離散的な分布であり、その値は非負の整数(0, 1, 2, 3, …)である。
- ポアソン分布は1つのパラメータ(平均発生率 λ)に依存します。
- 事象が稀にしか発生しない場合(λ が小さい場合)、ポアソン分布は0に近い値に偏ります。
- 平均発生率 λ が増えると、ポアソン分布は形状を変え、右に伸びていきます。
これらの特性により、ポアソン分布は稀な事象の発生確率をモデル化するのに非常に有用であり、品質管理、在庫管理、保険数理、通信理論など、多くの分野で広く利用されています。
エクセルでのポアソン分布の取扱
エクセルでは、「POISSON.DIST」関数を使用してポアソン分布を取り扱います。この関数は、ある範囲の確率またはポアソン確率密度関数を計算します。
POISSON.DIST
関数の構文は以下の通りです:
=POISSON.DIST(イベント数, 平均, 関数形式)
ここで、
イベント数:
は発生する事象の数(0以上の整数)です。平均:
は平均発生率です(0より大きい実数)。関数形式:
は論理値で、累積分布関数を求める場合はTRUE
、確率密度関数を求める場合はFALSE
を指定します。
例えば、あるウェブサイトの平均アクセス数が1時間あたり10回であるとき、このウェブサイトが1時間以内に正確に5回訪れられる確率を求めるには、以下のように計算します:
=POISSON.DIST(5, 10, FALSE)
また、1時間以内に5回以下で訪れられる確率を求めるには、以下のように計算します:
=POISSON.DIST(5, 10, TRUE)
以上がエクセルでポアソン分布を取り扱う基本的な方法です。これを用いることで、特定の時間や空間内でランダムに発生する事象の確率を計算することができます。
他の具体的な例として、あるコールセンターが1時間に平均30件の電話を受けるとします。1時間に40件の電話が来る確率を計算したい場合、次のようにエクセルの「POISSON.DIST」関数を使用します。
=POISSON.DIST(40, 30, FALSE)
この計算により、1時間に40件の電話が来る確率が算出されます。
また、1時間に40件以下の電話が来る確率を知りたい場合は、以下のように計算します:
=POISSON.DIST(40, 30, TRUE)
この計算により、1時間に40件以下の電話が来る確率が求まります。
このように、「POISSON.DIST」関数を使うと、特定の時間や空間内で発生する事象の確率を簡単に計算することができます。