調和平均とは
調和平均(Harmonic Mean)は、一連の数値の逆数の算術平均の逆数として定義されます。これは各数値がある全体に対する「部分」や「割合」を表す場合、または数値が「レート」や「比率」で表される場合に適しています。
具体的なシチュエーションを考えてみましょう。
例1:車の燃費計算 異なる速度で走行したときの車の燃費(キロメートル/リットル)を平均する場合、各速度での走行距離が同じであると考えると、全体の平均燃費を求めるのに調和平均が適しています。なぜなら、燃費は「距離/燃料」の形で表され、距離が一定であるため、全体の「距離/燃料」を求めるには各部分の燃費の調和平均を取るのが適切だからです。
例2:通信速度の平均 異なる速度でデータをダウンロードした場合、一定のデータ量をダウンロードするのにかかる平均時間を求めるのに調和平均が使われます。なぜなら、通信速度は「データ量/時間」の形で表され、データ量が一定であるため、全体の「データ量/時間」を求めるには各部分の通信速度の調和平均を取るのが適切だからです。
このように、調和平均は、数値が「全体/部分」や「量/時間」などの形で表される場合に特に適しています。このようなシチュエーションでは、調和平均を使うことで全体の平均を適切に求めることができます。
ExcelではHARMEAN関数を用いて調和平均の計算処理をなします。
HARMEAN関数で調和平均を計算する例
調和平均は、一定の距離や時間を異なる速度や効率で移動・作業する場合によく使用されます。以下にHARMEAN関数を用いて計算するいくつかの具体的な例を挙げてみます。
例1:車の燃費計算 異なる速度で走行したときの車の燃費を計算します。速度ごとの燃費がそれぞれ10km/L、15km/L、20km/L、25km/Lであったとき、全体の平均燃費を求めるには調和平均を用います。Excelでの計算式は
=HARMEAN(10, 15, 20, 25)
となります(約15.584)。
例2:通信速度の平均 異なる速度でデータをダウンロードした場合、全体の平均ダウンロード速度を求めるには調和平均が使われます。例えば、一部のデータを1Mbpsで、他の一部を1.5Mbpsで、さらに他の部分を2Mbps、2.5Mbps、3Mbpsでダウンロードした場合、Excelでの計算式は
=HARMEAN(1, 1.5, 2, 2.5, 3)
となります(約1.724)。
これらの例では、個々の速度や効率が一定の「距離」または「時間」に対して適用される場合に、全体の平均を調和平均で表すことが適切です。
なお、ExcelのHARMEAN関数は、引数に0または負の数が含まれるとエラーを返すのでご注意ください。
計算処理の確認
調和平均は、一連の数値の逆数の算術平均の逆数として定義されます。計算の流れを確認しましょう。
燃費の例では:
- 各燃費の逆数を計算します:1/10、1/15、1/20、1/25
- これらの値の平均(算術平均)を計算します:(1/10 + 1/15 + 1/20 + 1/25) / 4 = 0.064
- 最後にこの平均の逆数を取ります:1 / 0.064 = 約15.584
通信速度の例でも同様に:
- 各通信速度の逆数を計算します:1/1、1/1.5、1/2、1/2.5、1/3
- これらの値の平均(算術平均)を計算します:(1/1 + 1/1.5 + 1/2 + 1/2.5 + 1/3) / 5 = 0.58
- 最後にこの平均の逆数を取ります:1 / 0.58 = 約1.724
HARMEAN関数ではこのような計算処理がされています。