内部収益率(IRR)

内部収益率(IRR: Internal Rate of Return)は、投資の収益性を測る金融指標の一つです。具体的には、IRRは投資の現在価値の合計がゼロとなる割引率です。つまり、IRRは投資の収益が投資のコストと等しくなるある種の”ブレイクイーブン”の割引率を示しています。

この指標を使用すると、投資計画やプロジェクトの経済的な価値を評価できます。IRRが高ければ高いほど、プロジェクトまたは投資の収益性が高いことを示します。また、IRRは投資案件を比較し、どの投資が最も収益性が高いかを決定するのにも使われます。

具体的な計算例を見てみましょう。あるプロジェクトに最初に100万ドルを投資し、それが1年後に110万ドルを生むとします。この場合、IRRは10%です。なぜなら、割引率が10%であれば、将来の110万ドルの現在価値は100万ドルとなり、これが元の投資と等しくなるからです。

ただし、IRR計算はキャッシュフローが複数期にわたって発生する場合や、キャッシュフローが不規則に発生する場合には、より複雑になります。このような場合には、数値解法(たとえば、ニュートン法)を用いてIRRを計算することが一般的です。

ExcelではIRR(Internal Rate of Return)を計算するために、IRR関数を使用します。

この関数の基本的な使用方法は次の通りです:

=IRR(範囲, [推定値])

ここで、

  • 範囲 は一連のキャッシュフローを表すセル範囲または配列です。通常、このリストは初期投資(負の値)で始まり、その後に投資から得られる収益(正の値)が続きます。
  • [推定値] はオプションの引数で、IRRの初期推定値を指定します。この値を指定しない場合、Excelは0.1(つまり10%)をデフォルトとして使用します。

例えば、セル範囲A1からA5にそれぞれ-50000(初期投資)、15000、15000、15000、15000(収益)が入力されている場合、IRRを計算するための式は次のようになります:

=IRR(A1:A5)

この式を使用すると、指定したキャッシュフローに基づくIRRが計算され、その結果が表示されます。

なお、IRR計算には反復法が用いられるため、IRR関数が必ずしも正確な解を返すとは限らないことを覚えておいてください。また、IRRの計算結果は複数存在することがあります。このため、IRR関数の結果は常に他の財務分析と併用することが推奨されます。

また近似の関数としてXIRR関数があります。両者とも投資の収益率を計算するのに使用されますが、それぞれ異なるタイプのキャッシュフローに対応しています。

IRR関数は、定期的な間隔(例えば、毎年または毎月)で発生するキャッシュフローを対象としています。つまり、キャッシュフローが均等な期間で発生する場合に適しています。

一方、XIRR関数は、不定期な間隔で発生するキャッシュフローを対象としています。つまり、キャッシュフローが不規則な期間で発生する場合(例えば、2ヶ月後、その後5ヶ月後、その後3ヶ月後など)に適しています。

XIRR関数の使用方法は次の通りです:

=XIRR(値, 日付, [推定値]

ここで、

  •  はキャッシュフローの金額を表すセル範囲または配列です。
  • 日付 はそれぞれのキャッシュフローが発生した日付を表すセル範囲または配列です。これらの日付は  引数の金額と対応していなければなりません。
  • [推定値] はオプションの引数で、IRRの初期推定値を指定します。この値を指定しない場合、Excelは0.1(つまり10%)をデフォルトとして使用します。