ExcelのT.INV関数の使い方について解説
Excelには、統計解析を行うための多くの関数が用意されています。その中で、今回は「T.INV関数」の使い方について解説します。T.INV関数は、t分布の累積分布関数の逆関数であり、ある確率と自由度から対応するt値を求めることができます。
T.INV関数の構文
T.INV関数の構文は以下の通りです。
T.INV(確率, 自由度)
この構文には、以下の2つの引数が必要です。
- 確率:t分布の累積分布関数の値(0から1の間の値)
- 自由度:t分布の自由度(通常、標本数から1を引いた値)
引数の詳細
確率
確率は、t分布の累積分布関数の値を指定します。この値は、0から1の間である必要があります。T.INV関数は、この確率に対応するt値を求めます。
自由度
自由度は、t分布の自由度を指定します。通常、自由度は標本数から1を引いた値となります。自由度が増えると、t分布は標準正規分布に近づくことが知られています。
サンプル
以下の表は、あるクラスの10人の生徒の数学のテストの点数を示しています。
\ | A |
---|---|
1 | 75 |
2 | 80 |
3 | 85 |
4 | 90 |
5 | 77 |
6 | 82 |
7 | 88 |
8 | 95 |
9 | 79 |
10 | 84 |
このデータを用いて、生徒のテストの点数が上位25%に入るための基準点を求めてみましょう。この場合、t分布を用いて確率0.75(上位25%)に対応するt値を求め、それを基に基準点を計算します。
まず、自由度を求めます。自由度は標本数から1を引いた値ですので、10人の生徒がいるので自由度は9となります。
次に、T.INV関数を使用して、確率0.75に対応するt値を求めます。このとき、以下のように入力します。
=T.INV(0.75, 9)
これにより、t値が1.383であることが分かります。
ただし、このt値をそのまま基準点として使用するわけではありません。このt値を用いて、テストの点数の平均値と標準偏差から基準点を求める必要があります。平均値と標準偏差は、以下のように計算できます。
平均値:=AVERAGE(A1:A10) 標準偏差:=STDEV.S(A1:A10)
平均値は83.0、標準偏差は6.71です。これらの値を用いて、基準点を求めるために以下の式を使用します。
基準点 = 平均値 + t値 * 標準偏差
この式に値を代入して計算すると、基準点は約 92.3 となります。したがって、生徒のテストの点数が上位25%に入るための基準点は約92.3点となります。
このように、T.INV関数を使用することで、ある確率と自由度に対応するt値を求め、それを基に様々な統計解析を行うことができます。初級者の方も、この解説を参考にT.INV関数を活用してみてください。