第3節:電子商取引について
電子商取引(EC)においては、すべての取引において証拠書類(証憑)の保存と管理が重要です。現金の移動を伴う、あるいは将来の移動が見込まれる取引は、発生主義会計に基づいて記録され、正当性を持った証憑により裏付けられる必要があります。さらに、電子帳簿保存法やe-文書法により、条件を満たせば電子保存も可能です。
問題
問題1:
次のうち、「原始証憑(げんししょうひょう)」に該当するものとして最も適切なものはどれですか?
- 総勘定元帳
- 損益計算書
- 領収書
- 決算報告書
問題2:
証憑の電子保存を行う場合に関する説明として、最も適切なものはどれですか?
- どんな形式でもスキャンして保存すれば認められる。
- 保存前に所轄税務署へ事前申請が必要である。
- PDFで保存して印刷し、紙で保管する必要がある。
- 領収書は電子化の対象外である。
解説
解説1:
正解:3(領収書)
「原始証憑」とは、取引が実際にあったことを証明する最も初期の書類で、会計記録の出発点となるものです。領収書のほか、請求書、納品書、契約書、注文書、見積書などもこれに含まれます。これらは税法・商法上、一定期間の保存が義務付けられています。
- 選択肢1の総勘定元帳は集計された会計帳簿であり、証憑とは区別されます。
- 選択肢2と4はいずれも決算情報をまとめた文書で、会計処理後に作成されるものであり、原始証憑ではありません。
解説2:
正解:2(保存前に所轄税務署へ事前申請が必要である。)
電子帳簿保存法およびe-文書法により、一定の要件を満たすことで証憑類を電子保存することが可能です。ただし、電子保存を行うには事前に所轄の税務署へ申請を行い、承認を受ける必要があります。これにより、スキャナで読み取った証憑でも法的に正当な記録として認められます。
- 選択肢1は不正確で、保存形式には定めがあり、スキャン後の処理(タイムスタンプ付与など)も重要です。
- 選択肢3の「紙で保管する必要がある」という点は、要件を満たせば不要となるため誤りです。
- 選択肢4は誤りで、領収書も電子保存の対象であり、2016年以降は3万円以上の領収書も対象に含まれます。