ExcelのSTDEV.P関数とSTDEV.S関数の違いを解説します。ともにデータの標準偏差を計算するために使用されます。STDEV.P関数とSTDEV.S関数の違いと使い分け方法を図解します。
STDEV.P関数
この関数は「population standard deviation」(母集団の標準偏差)を計算します。つまり、分析の対象となるデータが母集団全体(全ての可能な観察対象または個体)を表している場合に使用します。STDEV.P関数は、個々の値が平均からどれだけばらつくかを計算しますが、これは母集団全体のデータを対象にしています。
使用例
- 全社員の年齢データが手元にあり、年齢のばらつき(標準偏差)を計算したい場合。この場合、手元にあるデータは全ての対象(つまり母集団)を含んでいるため、STDEV.P関数を使用します。
- 工場で生産される製品全体の重量データがあり、製品の重さのばらつきを調べたい場合。全ての製品データ(母集団)を持っているので、STDEV.P関数を使用します。
例:
=STDEV.P(B2:B1001)
// B2からB1001までのセル範囲の母集団標準偏差を計算します。全社員のデータが手元にある場合などに使用します。
STDEV.S関数
この関数は「sample standard deviation」(標本の標準偏差)を計算します。つまり、分析の対象となるデータが母集団の一部(つまり標本)を表している場合に使用します。STDEV.S関数は、個々の値が平均からどれだけばらつくかを計算しますが、これは標本(母集団の一部)のデータを対象にしています。
使用例
- 大規模な選挙で、ランダムに選ばれた一部の有権者(標本)の意見を調査し、その結果のばらつきを計算したい場合。調査対象が母集団(全有権者)の一部であるため、STDEV.S関数を使用します。
- ある地域の大きな湖から水質検査のための水のサンプルを取り、その水質データ(例えばPH値や溶存酸素量)のばらつきを調べたい場合。検査対象は湖全体(母集団)の一部であるため、STDEV.S関数を使用します。
例:
=STDEV.S(B2:B1001)
// B2からB1001までのセル範囲の標本標準偏差を計算します。すべての投票者のデータが手元にあるわけではない、といった場合に使用します。
このように、手元のデータが母集団全体を表しているか、母集団の一部を表しているかにより、適切な標準偏差の計算方法を選択する必要があります。
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