スマホ映像を外部モニターへ ─ 現行&レガシー出力規格を総まとめ(2025年版)
「スマホの画面を大きなモニターで見たい」「プレゼンやゲームを外部ディスプレイで楽しみたい」──そんなとき、どの規格を使えばよいか迷う方は多いはず。本記事では、最新の DisplayPort Alt Mode からレガシーな MHL、ワイヤレス Miracast まで、スマートフォン→外部モニター 接続に使われる主要方式を網羅的に解説します。選び方のチェックリストも用意したので、ぜひ参考にしてください。
1 | 主な出力規格早見表
カテゴリー | 規格名 | 物理I/F | 最大解像度※ | 現行スマホでの採用 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
USB‑C Alt Mode | DisplayPort Alt Mode | USB‑C | DP 2.1相当 8K/10K | Androidハイエンド / iPhone 15 / iPad Pro | 最主流。受動変換ケーブルでHDMI出力も可 |
HDMI Alt Mode | USB‑C | HDMI 1.4b 4K30 | 採用端末ゼロ | 2023年に更新停止・事実上消滅 | |
superMHL Alt Mode | USB‑C | 8K120 (DSC) | 製品例ほぼなし | MHLコンソーシアム休眠状態 | |
micro‑USB系 | MHL 1.0–3.0 | micro‑USB | ~4K30 (v3.0) | 旧Galaxy / Xperia など | アクティブアダプタ+給電が必要 |
SlimPort (MyDP) | micro‑USB | 1080p60 | Nexus 4/5/7・LG G2 等 | DP系の派生。近年は終息 | |
USB転送 | DisplayLink | USB‑C / USB‑A | 1080p~5K※ | Android 5.0以降 (アプリ必要) | ドライバ必須。Alt Mode非対応端末を救済 |
ワイヤレス | Miracast | Wi‑Fi Direct | 1080p60 (仕様上4K30) | ほぼ全Android / Windows | モニター or ドングル側の対応が必須 |
Google Cast (Chromecast) | Wi‑Fi | 4K60 HDR | Android / iOS | HDMIドングル or 内蔵TV向け | |
AirPlay | Wi‑Fi | 4K60 HDR | iPhone / iPad | Apple TV・AirPlay対応TVへ転送 |
※DisplayLinkはIC/ライセンスにより異なります。
2 | 各方式の特徴と現状
2‑1 DisplayPort Alt Mode(DP Alt Mode)
- USB‑Cの高速レーンをDisplayPort信号に切り替え。
- DP 1.4で4K60/8K30、DP 2.1では10Kにも対応。
- 最新スマホはほぼこの方式。USB‑C to DPケーブル1本で接続可。
- Samsung DeXやMotorola Ready Forなどのデスクトップモードも本規格。
2‑2 MHL(Mobile High‑Definition Link)
- micro‑USB時代の主流。給電しながらHDMI伝送できるのが利点。
- MHL 3.0で4K30まで対応したが、USB‑C移行で新製品は皆無。
- superMHLとして8K120仕様もあったが、市場投入されず終息。
2‑3 SlimPort (MyDP)
- VESA策定のDP派生。HDMI / VGA / DVI への受動変換が可能。
- Nexusシリーズで採用されたが、現在はDP Alt Modeへ統合。
2‑4 HDMI Alt Mode(廃止)
- USB‑C直結でHDMI 1.4b相当を出力。
- 採用端末が無いまま 2023年に策定停止。
2‑5 DisplayLink(USBグラフィック)
- 映像をUSBパケットに圧縮 → ドック側ICでHDMI/DPへ復号。
- Alt Mode非対応端末でもアプリ+USBドックで利用可。
- 処理遅延とICコストがネック。プレゼンや事務作業向き。
2‑6 ワイヤレス (Miracast / Google Cast / AirPlay)
- ケーブル不要で手軽。1080p〜4K出力に対応。
- ゲームやライブ動画は遅延が体感できる場合あり。
- 受信機能付きTVかHDMIドングルが必須。
3 | 選び方チェックリスト
- 端末がDP Alt Mode対応か確認
Android設定 » 接続設定 » USB » 「外部モニター」「DisplayPort」などの項目をチェック。
iPhone 15シリーズ/USB‑C iPadは全モデル対応。 - ケーブル&アダプタを最短経路で選ぶ
DP Alt Modeなら「USB‑C to DP」ケーブル1本が最速・低遅延。
HDMI入力しか無いモニターは「USB‑C(DP) → HDMIアクティブ変換」を使用。 - レガシー機(micro‑USB)は要アダプタ
MHL/SlimPort対応かを確認し、給電付きアクティブアダプタを用意。 - Alt Mode非対応 or ケーブルが煩雑なら無線
Miracast/Chromecast/AirPlayを検討。ただし遅延・画質を許容できる用途に限定。
4 | よくあるQ&A
Q USB‑C to HDMIの安価なケーブルを挿したら映らない…
ケーブル側が「DP Alt Mode → HDMIアクティブ変換IC」を内蔵していない可能性があります。必ず「USB‑C (DP Alt) → HDMI変換」「4K60対応」などの明記がある製品を選びましょう。
Q ゲーム用途で遅延が少ないのは?
DisplayPort Alt Mode > DisplayLink > MHL 3.0 > Miracast の順に遅延が小さくなります。FPSや音ゲーはDP Alt Mode一択です。
まとめ
2025年現在、DisplayPort Alt Modeが事実上の標準であり、USB‑Cポートを持つ新型スマホの多くが対応しています。レガシー端末はMHL/SlimPort、ケーブルレス派はMiracastやChromecastなど、用途・環境に合わせて最適な方式を選びましょう。ポイントは「端末の対応状況」「最短経路のケーブル」「モニター側入力」の三つ。これさえ押さえれば、スマホを大画面モニターで快適に活用できます。
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