Excelの機能進化は、データ処理の効率化に大きく貢献しています。特に、動的配列数式と複数セル配列数式はExcelでの作業を大きく変える機能です。この記事では、これら二つの配列数式の違いについて詳しく解説します。
「動的配列数式」の特徴
「動的配列数式」はExcel 2019以降で使用可能です。複数のセルの計算式を1種で管理可能です。一時的な計算処理能力は「複数セル配列数式」と同等です。ただし管理や処理が簡単になり、かつ参照元の拡張や再利用に対応しています。
- 自動スピル機能:
- 数式が自動的に隣接する空いているセルに結果を展開(スピル)し、スピル配列を生成します。スピル配列は「セル名#」の形式で参照が可能になります。
- 数式の結果が予想よりも多い場合にも、自動的に範囲が調整されます。
- 柔軟な参照範囲の拡張:
- 名前付き範囲、他のスピル配列を参照する際、それらの拡張に自動的に対応します。
- 簡便な操作:
- 数式の削除、移動、編集は先頭セルで行い、全体に反映されます。
- CSE不要:
Ctrl
+Shift
+Enter
(CSE)の操作は不要で、Enterキーのみで数式を確定できます。
「複数セル配列数式」の特徴
「複数セル配列数式」はサポートされているすべてのバージョンのExcelで使用可能です。やはり複数のセルの計算式を1種で管理可能です。
- 手動のセル範囲指定:
- 数式を適用するセル範囲を事前に選択する必要があります。
- 固定された参照範囲:
- 参照するセル範囲が拡張されても、数式は自動的には更新されません。
- CSEの使用:
- 数式を入力後、
Ctrl
+Shift
+Enter
を使って配列数式として確定します。
- 数式を入力後、
- 範囲全体の操作:
- 数式の削除や移動は、配列数式が適用されている全範囲で行う必要があります。
まとめ
動的配列数式は、特にデータ量が多い、または変動するような場面でその力を発揮します。自動スピル機能により、データの増減に柔軟に対応し、操作が簡便になります。一方、複数セル配列数式は、固定された範囲での計算に適していますが、操作がやや煩雑です。
コメント